思ったより、とおくに

専業主婦のエッセイ

1ばんとか2ばんとか


6さいがとにかく1番が好きだ。

「やったー!1ばん!」とか、子どもからよく聞くセリフを我が子も言う。1番じゃない時も、不正をしてでも1番だったと言い張る。そのたび、1番じゃなくても良いんだよとか、1番以外の人の気持ちを考えてとか、自分でもよくわからない謎の否定をしていた。

 

先日パン屋さんに行った時、6さいが大好きなメロンパンがあり、買おうか問うと、買う!と言った。そこには2番人気です、の文字。「わー2ばんなんだ!」と嬉しそう。少し歩いたところで「これもたべたい」と言う。1番人気のコーンパンだ。美味しいパンではあるだろうけれど、甘くはない食事パンである。カレーに付けて食べるのも良いか、と買った。

家に帰ると、コーンパンを食べるという。おやつの時間だからメロンパンじゃなくて良いの?と聞くも、コーンパンと言う。少し硬めの大きいパンをぐらぐらの前歯でかむ。かみきれないからちぎってーと言われ、ちぎる。おいしいーと満足そう。そして「これは1ばんのパンだからね」とにこにこで言った。

子どもにとっての1ばんは私の考える誰かや何かと競っての1番ではなくて、もっとキラキラしているイチバンなんだなーと気が付いた。

そりゃ嬉しいよね、1番だもんね。すぐに否定をしてしまう私は人間力が足りないな、と思う。育児ってこんなことの繰り返し。私とあなたは違うことを思い知るし、心にいつも留めていなくてはならない。

 

次の朝、メロンパンを食べて「2ばんだもんねーー!」とにこにこしていた。